* 16 なぜ現代の絵画を否定するのか。

20世紀の絵画は 1950年代を境に前半と後半に分けて捉える事ができるが 前半の1950年代以前は主に印象主義以後の具象絵画とその後の抽象表現を生み出すまでで 1950年代以降の後半はポップアートなどの新たな表現が発明されている。これらの中でバルテュスが否定した一つはキュビスムや抽象表現などで 理由は描く対象を人々の居る現実から離脱させ 形や色彩などによる表現の可能性を追求する事のみに 労を費やすようなに見えたからである。またそれまでに行なわれた表現様式を否定する事で 成立させようとするやり方にも批判的で これは過去の絵画の遺産を引き継ぐ事を拒否しているように思えたからである。またポップアートなども一過性の流行のような様式の創造として捉えて否定的であった。つまりバルテュスは人々の住む現実世界を基にして描く画家であり そこに表現すべき本質があり 鑑賞者である人々とのつながりがあると考えていたのであり 具象表現から抽象表現を開拓する表現の創造は 現実をなおざりにする事であり 表現のための表現のように思えたのだろう。バルテュスは自らを伝統主義者であると言っているが *これは過去の絵画表現を否定する事によって起こる断絶ではなく むしろ過去の様々な絵画表現についての考察を継承し それを生かして より高い次元に至る道をさぐるべきだと考えていたからである。

第五章------P20-P21-[更新済み]