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幼年期 1920以前 12才になる前 P− 1点
幼年期に描かれた「ミツ-バルテュスによる40枚の絵」は1921年にリルケによって刊行されているが 描き始めたのは8才の頃で 描き終ったのは11才 そして13才の時に出版された絵本。バルテュスの最初の公にされた作品である。P−。「ミツ−バルテュスによる40枚の絵」1919この作品の出版に関してはその頃母バラディーヌと交流があったリルケの尽力で行なわれ 本の序文もリルケは書いている。これは幼きバルテュスの絵に対する才能を認めての事である。この本の題名であるミツとは拾った子猫に付けた名であり 日本語の光という意味であり その子猫ミツとの出合いから突然の別れまでを40枚の絵に描いている。このような動物との出合いと別れは誰にでもある幼い頃の思い出であるが ここに登場する少年もバルテュス自身であり自身の体験である。バルテュスはこのミツとの別れはまさに光を失ったように悲しかったと言っている。またリルケは「ものを失うとは新たに所有する事で
それは内面的なものとして」と慰めている。このような話の展開を持った絵を描くには幾つかの決まりごとを守らねばならない。その一つは描き方を一貫させる事であるが ここでは主人公の少年は髪形も衣服も同じにされ 筆致も同じになっている。これはあまりにも当然の事と思われるがこの40枚の絵を全て描き終るのに約4年かかっている事を考慮すれば無視できるものではない。その2は状況を説明するため描き方を工夫する事。ここでは場面や背景を変え それらもしっかりと描き込まれている。その3は人物の表情や仕草 身振りを描きわける事であるが 少年とミツの表情は豊かで 場面ごとに必要な身振りなども多様に描き分けられている。さらにそれぞれの場面をどの視点から描くかという問題がある。この点ではどのコマも同じ目の高さで捉えていて 高さの変化はほとんどない。しかしこれは絵本であり 幼い同年代を読者としているならば 視点の変化は取り入れない方が読みやすいだろう。それからこの絵の描き方は筆を使った外形線描法だが 線の太さに変化と塗りの使い方に味わいがあり どのコマにも労をいとわずに描き込むあたりはすでにバルテュスの作風の特徴の一端を垣間見せていて見応えがある。また40枚の絵を同じ大きさのコマにして統一感を持たせている所も大人びた方法だろう。この少年バルテュスと猫のミツとの関係は この後に描かれるある重要な役割を持った存在になる前の猫との素直な関係が描かれているが この作品は後に伝説の始まりとされていく事になる。