247-249
P247。「朝顔 1」 27×35cm F5号程度 厚紙に油彩 1955
描かれている花はマルバアサガオだろう。そしてリンゴ。これらは机の上に置かれているが花器には入っておらず その茎と花は伸びやかに宙に浮き 野外に見られるままに描いているように見える。やはり地方に住む事が影響しているのだろうか。人工の街を離れ 人間関係の複雑さや厳しさの中にいては得れない穏やかな心持ちが このような野の花や果実を描かせたのだろう。宙にのびる朝顔の蔓は切り花に見られない伸びやかさがある。バルテュスはこのような花や果実は ここに載せた3点以外に11点あり これ以前にも花を描いた作品が2点ある。

P248。「朝顔 2」 27×35cm F5号程度 厚紙に油彩 1955
2点目の朝顔である。先の朝顔と同じF5号程度の大きさだから かなり小さい作品である。朝顔の花以外の花も描かれていて 葉の形からヒルガオに近い種のかもしれない。細い茎を伸ばし宙にのびる花は軽やかで 様々な方向に向いている。その作為のない構成に関心を持ったのだろうか。 

P249。「2つのリンゴ」 46×55cm F10号程度 厚紙に油彩 1955
このリンゴは実物よりもかなり大きく描かれていて 直径18cmはある。一般的には実物大かそれより小さく描こうとするが このように大きく描く感覚は面白い。先の花の美の捉え方と同じように 果実について考えてみるとそれは自然美の一種で花のように美しい物でもあるが その美は華やかさではなく充実した物が持つ美しさだろう。熟す事でその充実度は増し 自然の豊かな実りとして人の身も心も豊かにする。また果実は次世代を作るための種を宿しつつ その果肉は他の生き物の命を養う。この実りの美または充実の美はやはり貴く その丸い形は幸福の形でもある。しかしここに描かれたリンゴにそのような理屈とは別で 丸い形と枝につく葉の関係に関心を持ちながら描いた素直で素朴なリンゴの絵なのだろう。