243
P243。「若い娘の上半身」 80×65cm F25号 キャンバスに油彩 1955
シャシー時代に数多く描かれたモデルにフレデリック嬢がいる。 P255の「腕を組む若い娘」がその肖像画だが この作品は同じフレデリック嬢を描いた P258の「白い肌着の若い娘」を描いた時の一枚だろう。その横顔は無表情で先の作品のような明るさはなく 小さめの顔と厚みのある上半身は堂々として彫刻のような存在感がある。バルテュスはこのようにモデルを見つめながら 深い思考の世界に沈潜していくのだろうか。

P246。「シャシーのアトリエの暖炉」 73×92cm F30号 キャンバスに油彩 1955
この素描のような描き方の作品は小さく見えるがそうではなく ある程度の大きさに描かれている。場所はシャシーの館の一室の画室として使っていた部屋で 大きな無装飾な暖炉に置き火が赤く灯っている。その前に座り込んで本らしきものを見ているのはフレデリック嬢だろう。モデルをしている時の休憩の一コマを描いたと思われるが バルテュスが何気なく目にしたこの情景は彼女を幼い子に見せている。飾り気のまったくない大きな暖炉の前の彼女は今 他者を必要としない寂しくない孤独の中にいる。たぶんバルテュスも同じだろうがそれを見ているバルテュスは何かを考えている。二人の寂しくない孤独。