186
P186。「身支度をするジョルジェット」 96.5×92㎝ S30号程度 キャンバスに油彩 1948−1949
身支度をする若い娘という画題は この前後にも描いているが 最も数多く描いたのは1948年である。
この作品も陽光に照らされた裸体はその生命の初々しさゆえに輝き暖かそうだ。その片足を上げた姿勢は最初の身支度をする女性を描いたP71「鏡の中のアリス」のように大胆だが 性的な暗さや匂いは感じられない。あくまでも健康な裸体の持つ内から発する輝きと暖かさを描いている。しかも他人には見せない個人的な秘められた世界の中での大胆な姿勢とその輝きと暖かさは開放されているからであり 自分に対する期待感も含まれている。また面白く思うのは その裸体の形であり 顔も身体も丈を詰めて横幅を広く取っていて 丸くて太い。この顔と裸体の形にも円満で微笑ましい豊かさがある。それは穏やかに微笑む表情と共に裸体自身も微笑んでいるようだ。それに合わせるかのように丸いガラスビンや果実のようなものが鏡台の上にあり 後ろの老婆の横顔も単純化されて可笑しみがある。さらに脇に挟んだ絨毯たたきのクルクルした曲線もその可笑しみを強調しているようだ。しかし絨毯たたきは子供の躾に使われたり サディズムの道具を連想させたりもする。そうした見方をするとこの裸体画は 別な官能性をおび始める。