131-132
この「客間」は習作が2点と本制作が2点が描かれている。それぞれ僅かずつ異なっていて P131の最初の習作では左端に女性が立っているが P138の「客間 2」では白猫に変わっている。また長椅子の若い娘と床の上の娘の姿勢も少しずつ違うし 静物や背景もそれに合わせて変えられている。4枚目の P138 の「客間 2」が最終案になるのだが それまでの変更点を見ていくと画面構成に苦慮した事が分かり 最終案に至るまでの過程は大変興味深い。この4点の主役ははっきりしていて長椅子の若い娘と床の上の娘 この二人を中心にした室内風景なのだが 床に肘をついて本を読む娘は P100 の「子供達」だし その原形は「嵐が丘」の挿し絵である。この点ではこの「客間」は「子供達」の発展形とも言える。そしてもう一人の長椅子の上で眠る娘は この後に何点も描かれB氏にとって重要な画題の一つとなるが この作品が最初の登場である。しかし厳密には P102の「山(夏)」に横たわる人が描かれているし 1923年に描かれた P4 の「若い人の上半身」も寝入っている姿と言える。しかし本格的な登場はやはりこの「客間」からだろう。つまりこの作品はこの二人の娘の独特な姿態を中心にした画面構成と室内風景としての情感を出す事を目的としているが やや画面構成の方に力が入っていると思われる。

P131。「客間のための習作」 65×81㎝ F25号程度 キャンバスに油彩 1941
これが最初の構想画であるが 左端の立っている女性以外の全体像は決定していて その後も変わっていない事が分かる。室内には三人の人物がいて 一人は眠り込み もう一人は床の本を読んでいる。その部屋を訪れた一人の女。

P132。「客間のための習作」 49.5×59.7㎝ F12号 木版に油彩 1941
この二枚目の習作では左端の女性は除かれて その代わりにテーブルの上に布が掛けられ 以前にも描かれた銀製の器が果物入りで描かれている。この段階で画面構成はかなり整ったように見える。眠る娘とその左手は長椅子の背もたれに完全に乗せられ 右側への流れを作りながら 赤い果実からピアノの曲線へと繋がっている。そしてピアノから床の娘の足にさらに繋がり 腰から背 腕から影を通って 眠る娘のくの字に曲げられた足と繋がり 顔へと戻る。その大きく複雑な円周の中に真横から見たテーブルがある。