85-89
P85。「シェイラ・ピクリングの肖像」 73×53㎝ P20号程度 キャンバスに油彩 1935
これは上半身の肖像画で特に変わった所はない。ただ手許に記された文を読むと左ページには「これは猫達の王女シエラの肖像である。」 右ページには「バルテュスがこれを描き 猫達の王は彼自身だ。」とある。つまり彼女は猫達の王の対となる猫達の王女であると言っている。

P89。「ピエール・コールの肖像」55×46㎝ F10号程度 1936
この男性像は 最初のアトリエからロアン小路に引っ越した頃に描かれている。「一部屋だったがとても広くて簡素なアトリエだった。美しさに欠けていたのでゴシック様式の寝台を置いて ちょっと華やかさを出した。」また「この部屋にはあらゆる人々が訪れた。」とも氏は述懐している。あらゆる人達とは画家 彫刻家 俳優 ボヘミアン 批評家 画商などで 描かれたコール氏は画商であり1928年からの付き合いであるが1948年に亡くなっている。7年前にはロシアが共産主義国のソビエト連邦になり 3年後には第二次世界大戦が勃発する。当時のパリは経済の発展による華やかさと活気 そして急激な社会の変化による暗い影が忍び寄っていた時代にあり 国を捨てた人や追われた人 新たな時代を感じて集まる人達 もちろん美術関係のダダイストとシュールリアリスト エコ−ル・ド・パリや抽象絵画の画家達と彫刻家 また彼等を取り囲む様々な人々が行き交い 集まっていたはずだ。このコール氏も時代の中に居て 自らの考えを通す力を持った人物のように描かれている。