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P81。「カッサンドル=ムーロン一家」 72×72㎝ S20号程度 キャンバスに油彩 1935
家族の肖像画である。この絵の魅力はしっかりと捉えられた右側の二人の人物の形とその組み合わせだろう。母親の座る椅子のひじ掛けに乗る娘 二人は肩と腰に腕を回し合い親密な親子関係を見せている。この二人の組み合わさった形 特に右側の娘の形は均衡を保って安定している。描き込みも充分で立体感や質量も適度な手応えがある。そしてこの二人と対照的なのが やや離れて机にちょこんと乗って新聞を読む幼い子供だ。その可愛らしい形と表情 それに子供のくせに新聞を読む大人っぽさは可笑し味がある。机の足はかなり長く背が高いから 乗っている子供の足下は心細いほど広い。2人は正確な写実表現に真剣味を持たされ 3人目は可笑し味をもって描かれる。この描き方は「キャシーの化粧」の男女と老婆と同じ手法ではないか。この一つの画面の中で異なる扱い方をする所が面白い。また親密な母と娘なのに顔だちが他人のように似ていない事も奇妙で可笑し味がある。

ちなみにこの人達はグラフィックデザイナーのアドルフ・ムーロン・カッサンドラの家族である。