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P45。「ベルンの帽子のある静物」56×71cm P20号程度 キャンバスに油彩 1928

わせれば 当然変わった構成になるが この作品は水平と垂直の構成を意図しているようだ。 バルテュスの静物画は少ない。これは初めての静物画で同じ物を構成を変えて2点描いている。2点ともかなり工夫された構成になっているが 描かれている物は変わった形の物ばかりである。四つの輪のはまった筒とその前に置かれた赤茶の椀 赤い花のついた平べったい帽子 蓋のない筒は奥に向かって遠近感がつけられ細くなっている。その奥にはP8にも描かれた椅子の背もたれ 手前には取っ手のついた木製の椀が重ねられ 右端に木辺で出来た籠と その前にシワの多い赤い布。これらの風変わりな雑貨を組み合わせれば 当然変わった構成になるが この作品は水平と垂直の構成を意図しているようだ。 
静物画は選んだ物によって印象が変わるし 物には絵になるものとそうでないものがある。豪華な物を選んで描けばその豪華さが出る。ここではありきたりな物をわざと選ばずに 風変わりな雑貨の持つ形の面白さとその組み合わせに関心を引かれたように見える。この物選びに若い自我の存在を感じ取れる。

P46。「ベルンの帽子のある静物」75×81cm F30号程度 ? 1928

先とほとんど同じモノを使った構図の違う静物画。ここでもとりとめのない雑貨を描いているが これらは3種の構成要素として配置されているように見る事ができる。背の低い物と背丈がある物 そして丸い帽子。しかしそれだけでなく左端の筒は斜めに歪められ 取っ手のついた木製の椀はそれとは見えないような角度に置かれ その特徴を表していない。また右下の蓋のない筒の中には何かが入れられ 大きな釣り針のような物が添えられている。そして中央のくびれた水差しだけそのまま分りやすい形で描かれている。ここでは先の作品よりも物の形とその組み合わせによる構成に強い関心を持ち 物がどのように使われているものなのかを無視したり 形を変形させてまで構成を優先させている。バルテュスは生涯において構成を主とする作品も描き続けたが これらはその初源的な作品と言える。