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P24。「聖十字架の伝説 (十字架の発見と検証)」摸写。45×67cm M15号程度 1926。
原作ピエロ・デッラ・フランチェスカ。
ここに描かれているのはローマ帝国を支配したコンスタンティヌス皇帝の母后によって エルサレムのウェヌス神殿に隠された三本の十字架が発見され どれが本物かを検証している場面である。画面左側に掘り出された十字架と右側には死んだ若者をよみがえらせる十字架が描かれている。摸写では右端の死んだ若者の復活までは描いていない。

P25。「聖十字架の伝説 (聖十字架への賞揚)」摸写。50×34cm 1926。原作ピエロ・デッラ・フランチェスカ。
ペルシャ王のコスロエスから聖木を取り返したヘラクリウス皇帝が エルサレムに聖遺物である十字架を持ち帰る最後の場面である。原作では十字架を掲げる皇帝は馬から降り キリストのような謙譲な態度でエルサレムの人々に迎えられているが この摸写では皇帝の後ろに立つ5人の人物が描かれている。この人々のかぶる帽子は興味深い形をしている。

当時の若いバルテュスはこれらの絵に何を見たのだろうか。ピエロの絵画の特徴は初源的な立体表現と硬直したような人々の姿勢や身振りであり 理知的で明確な構図である。これらはまさに後のP73の「街路」に代表されるバルテュスの作品の特徴と一致している。またピエロの作品では 複数の人物はどのように接近していても互いに視線を重ねる事なく 個別に存在しているように見えるが これはバルテュスの「リュクサンブール公園の子供達」に見られる同居の無関係と酷似している。つまりバルテュスはピエロの作品に自分と同じものを発見したのではないだろうか。それ故にこれらを選んだと考えられる。

またこれらの摸写の仕方は大胆で 木炭などの下描きなしに直接 油絵具で形を取り彩色されている。この方法は後の作品でも使われている。